産業医の報酬って相場はあるの?どうやって決めてるの?

産業医の林です。どこまで書いて良いものか悩みますが、今回は嘱託産業医の報酬について内輪の話を少々…。

産業医報酬の相場

最低ラインとしては訪問無しの名義貸しで月3万5千円、毎月定期的に訪問して月5万円。開業医で昼の休憩時間にこなせる近所の事業所の場合には、3万5千円で訪問まで含むこともあります。一方、交通の不便な地域の場合は移動時間のコストも含めて相場よりも高くなります。

従業員数が増えれば、それに従って報酬も高くなります。従業員が増えれば業務量も増えるという理由のほかに、事業所の規模が大きくなれば高額請求しやすくなるということが影響しているのかも知れません。とはいえ人数に必ず比例するというわけでもなく、人数が増えてもそれほど増額しない場合もあれば、人数増加に従って一気に増額する場合もあります。

その他、ストレスチェックや健康診断の結果判定、従業員面談などが発生すれば、毎月の報酬とは別に追加請求する契約となっている場合がほとんどです。

紹介会社を通した場合

紹介会社や人材派遣会社を通して産業医の紹介を受ける場合は更に20-30%プラスとなります。

プラスした分だけ業務内容が大きく変わるということはないのですが、産業医に問題があった場合に変更してもらいやすくなります。上乗せ分はそのための保険料と考えた方が良いかも知れません。

結局いくらかかるのか?

年間総額で考えると、最低ラインが名義貸しで50万円以下となります。では最高はいくら位になるのか?

実は、精神科専門医で毎月の報酬が10万円~15万円。産業医大出身で経験豊富なトップレベルの産業医であれば、月1度の訪問で毎月の報酬が20万円ということもあるようです。

そうすると追加請求なども含めれば総額で年間300万円程度になります。

一見高いように思いますが、従業員の休職が減ったり、過労死問題などで会社が訴訟に巻き込まれるリスクが減ったりするのであれば妥当な金額であるという考え方もできます。

投稿者プロフィール

林 恭弘
林 恭弘
1992年和歌山県立医科大学卒業。脳神経外科,一般外科を経て、訪問診療クリニックの院長に就任。 職員の採用や研修、休職・退職問題などに関わる中で労務管理の重要性を認識し産業医活動を開始した。 一般社団法人全国産業保険機構代表理事。 企業人事部向けに「メンタルヘルス対策」や「うつ」「発達障害」についての講演も行っている。 またテレビ朝日系医療ドラマ「DOCTORS」シリーズを始めとする各種テレビ番組の医療監修・指導、出版物や企業のパンフレットなどの監修も行っている。

産業医でお悩みですか?

メンタル対応などの悩みがある
メンタル不調者、長時間労働などで問題を抱えており専門家に相談したい。

今の産業医に不満がある
現在の産業医に不満があり交代を検討している。

リスク対応の整備をしたい
訴訟などのリスク回避に向け社内の整備を専門家と一緒に進めていきたい。